空前のオイルブーム到来、テレビや雑誌では特集が組まれ、スーパーには今まで見たことがないようなオイルも並んでいます。
ご活躍中のオイリスト(オイルの専門家)の地曳直子先生に、オイルのよりよい使い方・選び方を伺ってきました!
関連記事はこちら
>>>オイル選び3つのポイント~今だから伝えたいオイルのこと~
>>>野菜たっぷり!お好みのオイルで「食べる」ドレッシング作り
地曳先生の活動内容と今の活動に至った経緯
今、私はオイリストとして活動をしていて、油脂・精油のオイル全般を扱っています。
油脂・精油のそれぞれが体にどんな作用があるか、講座やワークショップなどでお伝えしています。
元々はメディカルアロマから始まったのだったのですが、どうしても精油(メディカルアロマ)を取り入れても症状が治まらない方がいて、色々聞いていくと、その方の生活習慣や、食べたものが原因していることがわかりました。
症状が治まる方と治まらない方、両者の違いは何なのかな、と考え、辿りついた答えが「食事」だったのです。
食がやはり第一だな、と再認識したのと同じころ、母の糖尿病が発覚しました。
食事管理が必要になったこともあり、改めて食の勉強をしようと思っていたときに、「分子栄養学」という栄養学に出会いました。
勉強していくうち、糖尿病は糖が原因なのだと思っていたら、実は油が影響しているということがわかってきました。・・・というより、近年増加している、ガンやアレルギー、アトピー、認知症など、ほとんどは油が影響していたのです。
欧米での食事療法では、まずマルチビタミンとミネラルのサプリメントを摂り、まずは油を変えていきます。
でも日本で油はそんなに大事と思われていないように感じています。
以前は分子栄養学全般を教えていましたが、今はまず油を変えてほしいと思い、油を中心に伝えることをしています。
食べる油をベースに置いて、メディカルアロマで整えていく、という流れをお勧めしています。
食べる油で体を変えて、メディカルアロマで補いバランスを整えていく感じです。
分子栄養学とは
実は、日本の栄養学は遅れているといわれています。カロリーベースで食べ物にどんな栄養があるかということに言及した栄養学が中心だからです。
それに対し、分子栄養学は食べ物が体の中に入って、どんな働きをするのか、ということに着目しています。人が食べたものが、体の中のどこに運ばれてどう働くか、ということに重点を置いた栄養学なのです。
例えば、ケーキとご飯のカロリーが一緒でも、体に及ぼす影響や働きは違いますよね。
元々はオーソモレキュラー(分子整合医学)※の基礎となるような食事療法が分子栄養学にあたります。
※オーソモレュラーとは:オーソモレキュラー療法(orthomolecular medicine)は、我が国では「栄養療法」「分子栄養学」「分子整合栄養医学」とも称され、栄養素-適切な食事やサプリメント・点滴、糖質コントロール-を用いて、わたしたちの身体を構成する約60兆個の細胞のはたらきを向上させて、様々な病気を治す療法です。(参照:オーソモレキュラー.jp)
栄養を取りながら、抑えるべきものは抑えていく
病院での食事指導は、とにかくカロリー制限でした。母は太っていることが原因となった糖尿病ではなく、元々痩せすぎているぐらいなのに、食事制限ではとにかくカロリーを抑えてくださいと言われていました。
さらに弱ってしまうのではないかと心配になり、違和感を感じたので、何か違うものを知りたいと思って調べ始めて知ったのが分子栄養学でした。分子栄養学を元にした食事療法は、栄養は取りながら抑えるべきものは抑えていく、という形だったので、病院の食事指導での単純なカロリー制限とは全く違っていました。
病院のカロリー制限は塩分を抑えて、油を抑えて、とにかくおいしくないものを義務的に食べる、みたいな感じでした。それでは食べる喜びが半減してしまいますよね。それに比べ、食事である程度食べたいものは食べることができます。
完治したわけではないですが、いい状態を保てるようになってきました。
オイルを変えるとカラダが変わる!
母もずーっと予備軍であることはわかっていたのですが、これといって症状がはっきりと出るわけでもないので、本格的に悪くなるまで見て見ぬふりしてしまいました。
大人の病気だと思っていた糖尿病も、最近は子供でも患っている子がいます。
お母さんをはじめ、子どもたちの食事を用意する人に、ちょっとした知識があれば、未然に防ぐこともできたかもしれない…とわかった今は、そのことを少しでも多くの方に広めたいな、と思っています。
糖尿病だけでなく、アレルギーも認知症も、すごく油が影響しています。認知症の予防も兼ねて、50代ぐらいの方が油を変えれば効果は大きいと思います。1回の食事の影響ってやっぱり大きいな、と感じています。
日々の積み重ねで、意識や心がけを変えていくことで、一年後にはご自身でも変化が感じられると思います。市民講座などで講師も務めていますが、オイルに関して無意識・無自覚で選んでいる方が多いな、と感じてしまうことがよくあります。
炒め物の時、サラダ油をフライパンが焦げ付かないように潤滑油的に使用していませんか?
まずはそれをやめてみる、これだけで身体の違いは実感できるはずです。
油をいただくことは種の命をいただくこと
最初は植物油だけ扱っていたのですが、だんだん魚の油なども入ってきたので、油脂(植物・動物)と精油(植物から蒸留したもの)の2つに分けて考えています。
油の原料となっているもののほとんどは種です。種って、一つ一つはすごく小さいでしょう。
その小さな種の中にすべてがあると感じています。例えばどんぐりだって、あんなに小さいものから、すごく大きな木が育ちますよね。これってすごいことだな、と思うんです。
大きな木に育ちゆく、その全部のエネルギーが小さな種には詰まっているということです。
その種を圧搾してとった油が、人の体の中で、こんなにも大事に作用するっていうことが、私的にはグッとくるんですよね。
植物には一次代謝物と二次代謝物があります。
一次代謝物は植物の生命維持のためになくてはならないもののこと。
二次代謝物はなくても生きてはいけるけど、よりよく生きるためにあった方がいいもののこと。
種は育つためになくてはならないから一次代謝物にあたります。
精油の成分となるものは二次代謝物にあたることが多いです。
人も植物もつながっている
植物にとってなくてはならないものは、人にとってもなくてはならないものとして働き、植物がよりよく生きるためのものは人にとってもよりよく生きるために働きます。
このことがわかってから、まずはベースになる油脂から変えて、精油には手伝ってもらうようなイメージで役割を分けています。だからアロマを勉強したい!という人には、まず油脂からやったら?と勧めています。
アロマはおしゃれっぽいし癒されるのに比べて、油脂は地味だから、あまり気にかけられないことが多いですが、でもやった方がいいし、いずれ行きついてしまうことだから、ベースから学ぶことは大事だな、と思います。
いずれ食にはたどり着くことなので、ベースとバランスですね。
人にも植物が同じように働きかける感じ、つながってる感じってやっぱりあります。
だから、そういう視点で油脂を見てほしいなと思います。サラダ油(※)を見ると貴重でもなんでもない感じだけど、本当は油って、種の「命絞ってますから!」っていうものなんですよ。
※サラダ油=数種類の材料を使って使った加工品。
昔、海外の人が、オイルとビネガーでサラダを食べているのがおしゃれ!ということで作られた、無色透明の無臭なオイル。無色透明で無臭ということは、精製しつくした、絞りつくした感じのもの。つまり栄養がないということです。
頭で食べずに、暮らしを自然と変えることが理想です。
お母さんが頑張れば、子供は自然と変わっていきます。
オイリストとして活動してみてわかったことは、いろんな大切なことを、一般の方が知る機会が少ないな、ということです。じわじわ伝えて、変わっていくきっかけになれたらいいな、と思います。
■つづいては
>>>オイル選び3つのポイント~今だから伝えたいオイルのこと~
■合わせて読みたい
>>>今日から始められる!オイルを減らす5つの方法
>>>野菜たっぷり!お好みのオイルで「食べる」ドレッシング作り