今回は、パッシブデザインの家づくりでは必ず必要になる「熱交換換気システム」passiv Fanをはじめ、passiv materialを扱うAIR LABO(エアラボ)の臼井さんにインタビューをしました!
少し専門的な話も多くなりますが、passiv Fanやメガフィルターはどんな人が、どんな思いで作った製品なのか、少しでも感じていただけたら嬉しいです!
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-「熱交換換気」とは聞きなれない言葉ですが、どうして住宅に使われるようになったのですか?
さかのぼると、1970年代のオイルショックが発端となります。
元々日本の住宅は、夏が涼しいことに重点を置かれていましたので、オイルショックが起き、住宅の熱効率や気密性が見直されました。
エネルギーを極力使わない家にしていこう!という流れはこの時始まり、こぞって高気密住宅が建てられるようになりました。
しかし、「早く」「安く」の呼び声の元、木や土など昔ながらの建材の代替え品として新建材が主力となってきた時期と重なることもあり、新建材をふんだんに使用した高気密の家を作った結果、人々が家の中で身体の不調を訴えるようになりました。いわゆる「シックハウス症候群」と言われる症状です。
今考えれば当たり前の話ですが、昔、木と土で作られた、良く言えば風通しのいい、悪く言えば隙間だらけの家に住んでいた日本人には、「部屋に換気扇をつける」という発想がありませんでした。
換気システムがない高気密住宅に住んだ結果、新建材からのVOC(揮発性有機化合物)によって、多くの方がアレルギー症状を発症してしまったのです。
そこで、2003年のシックハウス法が制定され、住宅には24時間換気システムの取り付けが義務化されました。
でも「換気扇」と聞くとせっかく高気密にして暖めたり、冷やしたりした空気が逃げていってしまうような悪いイメージを持たれる方がほとんどだったんですよね。
そこで、大手メーカーはこぞって第一種熱交換換気システムを作り始めました。大きな機械を屋根裏に設置して、室内の温度を保ったまま換気をする仕組みのことです。それが現在の主流となっているもので、今でも新築の約8割はこの大がかりな24時間換気システムが組み込まれています。
-素朴な疑問ですが、ダクトや機器のお手入れはどうするんでしょうか・・・?
そう、まさにそこが問題でした。部屋の換気口の部分は掃除できますよね。
でも、屋根裏を走っているダクトの中はもちろん掃除をすることができませんでした。
OKUTAサスティナブル建築研究室技術顧問の西方里見先生も、熱交換換気の中はブラックボックスだ、と表現されるほどです。一度設置してしまうと、メンテナンスも行き届かないという問題点がありました。
-主力商品のpassiv Fanについて教えてください。
passiv Fanは第一種ダクトレス全熱交換換気システムです。
先にもお伝えした通り、今までの全熱換気システムは、冷蔵庫ほどの大きさの換気システムを屋根裏に置き、各部屋ごとにダクトを伸ばして換気を行う製品でした。
多くは熱交換素子(熱交換をする部分)は紙製で、定期的な交換が必要な場合もありました。
さらに、ダクト内のメンテナンスができないこと、熱交換換気自体が壊れたら、すべて取り換えなければならないことなど、多くの問題を解決すべく、passiv Fanは開発されました。
ダクトをなくし、各部屋ごとに壁付で熱交換換気を設置することで、屋根裏の設置スペースが不要になり、メンテナンス性・耐久性の面でも安心してお使いいただける熱交換換気システムができました。
-メンテナンス性・耐久性の向上は具体的にはどのような点ですか?
メンテナンス性は、脚立に乗って天井に設置された換気口のふたを開けて・・・などの作業が必要なく、専門業者にダクト内の清掃をお願いする必要もありません。
壁に設置されたカバーを外すだけで、フィルターの汚れ具合は確認できますし、工具も必要なく、すべて手で分解ができます。
脚立に乗って天井に手を伸ばすのは、女性やご年配の方には大変な作業になりますし、分解に工具がいらないので、通常のお掃除のついでにメンテナンスできるのでとても便利です。
耐久性は、熱交換素子が通常は紙でできており、定期的に交換が必要となりますが、passiv Fanは熱交換素子(蓄熱エレメント)がセラミックでできていますので、交換が不要になります。
-これからの展望をお聞かせください。
まだまだダクトレスの熱交換換気システムは市場の2割程度です。
2020年には「省エネ基準適合住宅の義務化」がはじまります。
passiv Fanだけでなく、passiv designについて、より多くの方に知っていただかなければ、と感じています。
「省エネ」と一括りに表現しても電気代を使わないようにしようということだけでは不十分です。
換気設備は24時間運転が義務付けられているからこそ、シンプルに、性能そして耐久性が高く、維持費、導入費が安く、安全・健康に十分配慮された設計のものが本当の省エネだと考えます。
passiv Fanは一般的な換気扇に比べおよそ1/3の動力で運転しながらも最大90.5%を熱交換しますので、冷暖房負荷を削減し、一次エネルギーの削減に大きく寄与します。性能は最低でも太陽光パネル1枚分をカットすることができます。ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にももちろん採用できるレベルです。維持が簡潔に行え、廃棄がとても少ないため地球環境を害することがほとんどありません。
新時代の住宅を作る一助となるために、使命感をもって passiv Fanをはじめとする地球環境の原則を尊重したプロダクトの開発を行ってまいります。伝えるべきことは、まだたくさんあるな!と感じています。
-教えてくれたのはこの人!
<撮影:侯雁瀛さん>
AIR LABO 臼井達彦さん
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建築事務所をいくつか経験し、店舗や公共施設の設計などを経てOKUTAへ入社。
元々パッシブデザインにも興味があり、パッシブデザインの魅力を伝えていくことが大切だと感じ、営業へ。
「AIR LABO(エアラボ)」というブランドを立ち上げ、passiv Fanを主力商品として、passiv material全般を扱う。
エアラボは、空気環境に着眼したパッシブデザインの研究所で、研究・開発・製造・販売のすべてを行っている。
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