香りを部屋に取り入れたいけど、どう選んでいいかわからない!というあなたに。
今回お話をお聴きしたのは2012年12月から香司としての活動をスタートされたmek&jirra(メックジーラ)の丸山先生。
天然素材のみを使用したお香・お線香の製造販売に取り組んでいます。
| 部屋に合わせて香りを選ぶ
本当は実際に試して、香りの説明を専門家に聞きながら、香りを選ぶことが一番です。
ただ、雑貨として販売されているお香は試しに焚くことが出来ない場合が多いと思います。
目的や焚く空間によって選ぶ香りが異なりますので、こちらを参考に選んだあとは、実際に焚いてみて心地のいいものを使ってくださいね。
●お香の種類
お香にはスティック型(写真左)とコーン型(写真右)との2種類があります。
スティック型は焚く時間が長く、火のつく部分が小さい分、少ない香りが長時間続くようなものになっています。
反対にコーン型は焚く時間が短く、香りの量が多いとされています。
煙の量と香りの量が比例していますので、コーン型のように下が広がっているタイプのものは、太さに応じて煙の量が増えていくというわけです。
| シチュエーション別、香り選びは“場所”がポイント!
基本を押さえたところで、さっそく具体的にお香選びをはじめましょう。
まず考えていただきたいのはこちらの3点。
①どこで焚くのか
②季節
③五味
①をベースに考えつつ、悩んだときや好みの香りを判断するときに②、③で香りを選んでいきます。
①どこで焚くのか
どの場所で焚くかによって、選ぶ香りの量(煙の量)と時間(大きさ、長さ)が変わってきます。
トイレや洗面室、玄関などの狭い場所では、焚く時間は短い方がいいと思います。
トイレや玄関は生活臭が気になる部分でもあるので、嫌なにおいを紛らわしてくれたり、残り香があるパチュリなど薬草系の香りをベースにした、コーンタイプのものがいいのではないでしょうか。
リビングは、キッチンが近く、いろいろな人の出入りがありますので、あまり強い香りを必要としません。
長い時間をかけて焚き、少ない香りをゆっくりと部屋に満たしていくような線香タイプのものが合っていると思います。
寝室では、寝る前にパッと焚く方もいれば、読書などのリラックスタイムにゆっくり焚く方もいると思います。
お好みの生活スタイルに合わせて形を選んでいただくといい場所です。
寝室で焚く場合、就寝前は特に覚醒作用のある香りを選ばないように注意してください。
ラベンダーなどの気持ちや体を緩める効果のある香りを選ぶことをお勧めいたします。
②季節
同じ人でも季節によっても香りの好みが変わってきます。冬はやはり温かみのある香りの方が心地よく感じるようです。
作用として「からだをあたためる」効果がある香りもあります。
用途によって異なりますが、迷ってしまう場合は、季節も参考にしてもらうといいと思います。
こちらはシナモン。シナモンは体を温める効果があるようです。
③五味
香りの五味はこちら。好きな香りがわからなくても、食べ物の好みをベースに考えるとイメージしやすいですね。
<香りの五味>
・甘味/蜜系の香り
・酸味/柑橘系の香り
・辛味/唐辛子などスパイス系の香り
・苦味/葉っぱ系の香り
・塩味/塩の香り
組み合わせ次第で様々な香りが楽しめるのが手作りのいいところ。
| 故人への想いを香りとともに届けたい
お香は、釈迦が亡くなった時に弟子たちが釈迦が好きだった白檀の香りを焚いたことが始まりで、亡くなった方が煙の香りを召し上がる、と言われています。
何を買ったらいいかと聞かれれば、亡くなった方が好きだった香りや食べ物の好みに合わせて選ぶのがいいのではないかと思います。先ほどご紹介した、香りの五味を参考にされるとわかりやすいです。線香を手向けて天の人に召し上がっていただけるように、食事をベースに考えることをお勧めしています。
線香は本来、ペーストのカレーのようにバランスよく何の香りが含まれているかわからないぐらい滑らかに摺合せ、香りのムラがないことが良しとされていますが、ゴロゴロ素材が入ったカレーのように、故人の好みを思いっきり取り入れた香りを手作りするというのも、市販品では味わえない、手作りならではの良さなのではないでしょうか。