前回は、食べる油と精油のお話し、そもそも油って、というお話をお伺いしました。
続いては、今だから伝えたいオイルのことに加え、オイル選び3つのポイントをまとめました!
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研究者と市民の間に立ち、今伝えたいこと
脂質栄養学会という学会があり、脂質がすごく大事ということが年々わかってくるのですが、市民の元にその情報はなかなか降りてきません。
おととし参加した時に尊敬する先生に初めてお会いした際、「油が大事だとわかってすごく勉強なったけれど、子育て中のお母さんたちに知ってほしいと思っても今のままでは全然伝わらないのでは」とお伝えしました。
これからオイルに絞って活動をしていくことをお伝えし、先生に聞きながら今の活動がスタートしています。「私が伝えなければ!」と使命感を持って取り組んでいますね。
医療業界の話は実りある研究はすごくあるけど、発信力がないというか、伝える人がいないのが現状です。
医療と市民の間で必要なことを伝えていく人たちがやっぱり必要です。大切な情報は気づいた人が拾い集めて伝えないと市民の元へは届いてくれません。
一般の方が実践することはまず減らすこと。
本当に現代の食事は油分が多いので、ほぼノンオイルでもいいというレベルで減らしてよいと思います。サーロインステーキを100g食べたらもう足りる。それ以上は過剰・嗜好品のレベルです。
量を減らすこと大事ですがバランスも大事です。
油脂を摂りすぎてるな、という人はオメガ3を含むオイル(※)を小さじ1程度摂って、バランスを整えたり…ということも必要になりますね。
※オメガ3など、オイルの細かな成分のお話はまた後日ご紹介します。
初めて聞く人はギョッとするかもしれませんが、「炒めたい!」と思った時に「油を加える」という習慣を変えましょう!とお伝えしています。
フライパンに油を入れてよ~く熱して…という時点で、オイルの専門家としては「大丈夫かな…おすすめできないな…」と感じてしまいます。
オイルは潤滑油ではなく調味油。仕上げにコクと香りをつけるようイメージで使っていきます。
いいオイルはそれだけでおいしいから、できる限り非加熱でいただいてほしいですね。
毎日揚げ物とか、コンビニのお弁当とか、減らせるところからどんどん減らしていって、ただ物足りなさを感じるのであれば、最後に調味油として加えるという選択肢もあると知っていただきたいです。
加工品に入っている油は測れないし、加工品は何にでも入っていますからね。
>>>「今日から始められる!オイルを減らす5つの方法」も合わせてご覧ください。
ポイントは、減らすこと・置き換えること
植物油は安全そうに聞こえますよね。
昔は植物油と言えば菜種や大豆でしたが、今はパーム(やし)油がすごく増えています。実は発がん性が指摘されていて、過剰摂取は気を付けてもらいたいです。
植物油と書いてあると自然っぽいけど、トランス脂肪酸(※)が確実に入ってると思った方がいいです。トランス脂肪酸のことも問題意識を持っている人はまだまだ少ないのですが…
※トランス脂肪酸など、オイルの細かな成分のお話は後日ご紹介します。
MCTオイルとは
中鎖脂肪酸を含むオイルのことです。
油は不飽和度と鎖の長さで分類されていて、普通は長鎖脂肪酸。
ココナッツオイルが少し前に流行りましたよね。ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が入っています。
中鎖脂肪酸はケトン体(※)になりやすい、という特徴があります。
人はブドウ糖をエネルギー源にしますが、ケトン体もすぐにエネルギー源になります。
※ケトン体とは…脂肪の分解により肝臓で作られ、血液中に放出されるアセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の総称です。
ココナッツオイルがアルツハイマーに効くと言われたのは、脳の細胞がブドウ糖をエネルギー源にできなくても、ケトン体ならできる人がいて、ケトン体を取ることで脳の細胞を復活させることができるといわれているからです。
そのケトン体を人工的に生成したのがMCTオイルのことなんですよ。
アルツハイマーの原因にもよりますが、糖尿病が原因で発症したアルツハマーであればMCTオイルが効くことがあります。
糖尿病はそもそもどんな病気かというと、糖質とか炭水化物を摂ってインスリンの働きで細胞の中に糖を取り込ませるのですが、糖尿病の人はインスリンの機能が弱く、細胞が糖を円滑に取り込むことができません。
しかし、ケトン体なら取り込める可能性が高いため、効果があると言われています。
糖尿病は糖質の摂りすぎというわけではなく、血管に細胞内に取り込めない糖がたくさん出ている状態なので、血管壁を錆びさせてしまい、病気のデパートと言われるぐらい合併症がすごく多い病気です。
油の摂取量を減らすことも大事だけど、油を“いい油”に置き換えることが大事なポイントになります。
オイル選び3つのポイント
①製造方法をチェック:圧搾か溶剤抽出か
いい油を見分ける方法は、製造方法を確認します。
製造方法に触れられているオイルは実は意外と少ないです。
圧搾で製造されたオイルは書かれていることが多いですが、価格が高いです。
溶剤抽出は製造方法は書いてないけど、価格が安いです。
単純に価格だけでもまったく違うものがほとんどです。
圧搾は原料となる種の栄養素がそのまま残る製造方法です。
「オイルを変えるとカラダが変わる!油は種の命をいただくこと」でもお伝えした通り、種は命の源です。
その種の栄養素をしっかりと残しながら作られているので、栄養価も高くなります。
溶剤抽出は、色やにおいが飛ぶ(=栄養素がなくなる)だけでなく、揮発しきらなかった溶剤が残ってしまう場合があります。さらに、製造過程で高温加熱をしている場合もあり、トランス脂肪酸化(※)してしまったり、アルツハイマーの原因物質ができてしまうことも報告されています。
※トランス脂肪酸など、オイルの細かな成分のお話は後日ご紹介します。
原料が同じでも、圧搾の油と溶剤抽出の油はまったくの別物なのです。
家族が少ない、油をあまり使わないのであれば、ぜひ“いい油”を使っていきましょう!
②入れ物をチェック:サイズと遮光性
小さめで遮光されている(濃い色の)瓶に入ったものを選びましょう。
開封してしまうとどんどん劣化(酸化)してしまうので、目安としては1~2カ月ほどで使い切れるような量のものがおススメです。
③生産地・輸送方法をチェック:やはり国産が安心
海外から常温の船便で届いたものは、激しい温度変化にさらされている(すでに劣化している)可能性があります。
海外ではオイルは冷蔵棚で販売されていることもある通り、実は温度管理がとっても大切。
常温であれば国産のものを。輸入品を選ぶ際は、どんな輸送方法だったかを確認してくださいね!
亜麻仁油も流行って、どこでも売っていますが、海外だと冷蔵棚に置かれているんですよ。
亜麻仁油は非常に酸化(劣化)が早い油とされているので、できれば国内で作っているものの方が安心です。
最後に・・・
一度に油を切り替えよう!と思うととっても大変です。
ここまでお話ししてきたことを、どれか一つでも、少しずつ取り入れていってくれるといいと思います。一年後振り返った時に、結構違う身体・気持ち・味覚になっていることでしょう。
食は命の源であり、生きる喜びや楽しみの一つでもありますよね。
病気になってしまって、すべてが制限されてはとても悲しいと思います。健康なうちから、少しずつ身体の変化、味覚の変化を楽しみながら、オイルと付き合っていただけると嬉しいです。
■前回の記事はこちら
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